介護職(男性)が日々感じた事を話す、略して「介男
話」です。
またまた委員会で配布したコラムの転載なのですが、
僕と母との思い出です。リスクマネージメントの大切
さについてのコラム、ひまつぶしにどうぞ♡
委員会が始まるまでの暇つぶしコラム |
“事前にどんな事が起こるのか予測し備える”
これは災害であれ事故であれ、大切な事です。相談員
であれば家族に説明する時、現状を把握し、どんな質
問が来るのか、そして、どの様に返答するのかを事前
に予測し用意しておく…この予測の引き出しが多けれ
ば多いほど冷静に対応が出来るのです。人は冷静さを
失うと必ず失敗します。
『ミラーで確認すべし』
僕には2つ上の姉がいる。姉が中学校に入学する少し
前、母は部活動で帰りが遅くなる事を予測し、車で送
迎出来る様に車の免許を取る決意をした。家事や育児
の合間に教習所に通い、試験も何度か落ちたが、どう
にかこうにか4年後に無事免許を取得したのだった。(
姉ちゃん中学卒業しとるがな!!)
免許を取ってしばらくしたある日、母が僕にドライ
ブを持ちかけてきた。どうやら給油をしなければなら
ず、初めてなので付き合ってほしいというのだ。思春
期真っ只中の僕は母親とドライブなんて恥ずかしくて
嫌だったが、寄り道の御礼に期待し後部座席に乗り込
んだ。
「大丈夫なのかよ…」学生の僕は給油なんてした事
は当然ない。そしてこの母親だ。不安しかなかった。
そんな心配をよそに母は「どうするか大体解ってる。
ダイジョーブダァー!」と志村けんのモノマネをかま
してきた為、僕は心底イラッとした。
ガソリンスタンドに着くと、アルバイトだろうか、
大学生くらいの店員が近付いてきた。母は窓を開け
「レギュラー、マンタン、ゲンキンデ。ハイザラハ
、ダイジョウブデス。」と、あたかもそれを言うと
用意していたかの様に言った。給油が始まると緊張
のほぐれた母は、後部座席を振り返り「余裕ダッチ
ュ~のっ‼」と当時流行っていたギャグをかましてき
た為、僕は全力で無視をした。
支払も終わりおつりを受け取ると、店員は母に尋ね
た。「どちらに行かれますか?」すると母は顔を真っ
赤に染め「私は結婚してます‼後ろに座っているのは
息子です‼」と言うと、一目散にガソリンスタンドを
飛び出して行ったのだった。
…お解り頂けたでしょうか?初めて給油に行く母は
、どんな質問があり、どうやって給油口を開けるのか
等、事前にシミュレーションをしていましたが、「ど
ちらに行かれますか?」という質問は想定していませ
んでした。想定外の質問をされた瞬間頭が真っ白にな
り冷静さを失い、店員はガソリンスタンドから出て「
右に行くのか、左に行くのか」を知る為に「どちらに
行かれますか」と質問したのに、母は自分がどんな顔
であるかも忘れナンパされたと勘違いをし、真っ赤な
顔でガソリンスタンドから出て行ったのでした。
リスクマネージメントなんて言葉がまだ無かったあ
の日、僕は自分自身を見つめ、冷静に対応する大切さ
を、鼻歌を歌いながら上機嫌に運転する母の後ろ姿か
ら学びました。
おしまい♡