海水ってあんなにしょっぱいのに
塩分濃度はたったの3%なんだって
という事で
介護職(男性)が日々感じた事を話す略して介男話です。
ケガや病気になると、安静にしなくちゃいけないから
その間はこれまでと異なった生活を送らなくちゃいけない。
毎日過ごしていた場所、
見ていた風景じゃなくて、ベッドの上で天井を見て過ごすのだ
「調子はどう?痛みは?」
「だいぶマシよ。
いつも見ていたチューリップはどうなったのかしら・・・」
「見に行こうよ」
「コイノボリも長い事見てないわ・・・」
「ある、ある。見に行こ。いつも外をながめていた
お気に入りの場所に行こ♡」
ベッドごとその方がいつも過ごしていた場所へ、
途中コイノボリが見える所に立ち寄って向かう。
「キレイな空ねぇ・・。良いお天気・・。」
空を眺めながら静かにそうつぶやいた。
他の利用者に呼ばれた為、少しその場を離れ戻ってくると、
小さな声で唄っていた。
屋根より高い こいのぼり
大きいまごいは おとうさん
小さいひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる
この歌にはお母さんが出てこない。
だからなのか、母親がさみしいまなざしで
家族を見ているって感じがして、家族に逢いたいなぁと
いうさみしさがその歌声から僕は感じた。
「早く良くならないとね」
「そうね、ずっと寝ていたら退屈だもの」
うららかな、春の日差しが心地よい4月のある晴れた日の午後
柄にもなく少しセンチメンタルになる40のおっさんの1コマ・・・。