介男話 その 41

海水ってあんなにしょっぱいのに

塩分濃度はたったの3%なんだって上向き

という事で

介護職(男性)が日々感じた事を話す略して介男話犬の顔です。

ケガや病気になると、安静にしなくちゃいけないから

その間はこれまでと異なった生活を送らなくちゃいけない。

毎日過ごしていた場所、

見ていた風景じゃなくて、ベッドの上で天井を見て過ごすのだ

「調子はどう?痛みは?」

「だいぶマシよ。

いつも見ていたチューリップはどうなったのかしら・・・」

「見に行こうよ」

「コイノボリも長い事見てないわ・・・」

「ある、ある。見に行こ。いつも外をながめていた

お気に入りの場所に行こ♡」

ベッドごとその方がいつも過ごしていた場所へ、

途中コイノボリが見える所に立ち寄って向かう。

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「キレイな空ねぇ・・。良いお天気・・。」

空を眺めながら静かにそうつぶやいた。

他の利用者に呼ばれた為、少しその場を離れ戻ってくると、

小さな声で唄っていた。

 屋根より高い こいのぼり

 大きいまごいは おとうさん

 小さいひごいは こどもたち

 おもしろそうに およいでる

この歌にはお母さんが出てこない。

だからなのか、母親がさみしいまなざしで

家族を見ているって感じがして、家族に逢いたいなぁと

いうさみしさがその歌声から僕は感じた。

「早く良くならないとね」

「そうね、ずっと寝ていたら退屈だもの」

うららかな、春の日差しが心地よい4月のある晴れた日の午後

柄にもなく少しセンチメンタルになる40のおっさんの1コマ・・・。