価値観が合わない

介護職(男性)が日々感じた事を話す、略して「介男話」です。

介護の様な対人援助職をしていると、どうしても突発的な事があったりして

委員会とかの時間にピッタリと全員が集まれない事もあります。

そんな時のヒマつぶしにコラムを配布しているのですが、

まぁオマケ程度なので読んでいる人も読まない人も、

感想とかのリアクションも無い訳で…

そんな訳でここに掲載しているのです。ひまつぶしにどうぞ♡

委員会が始まるまでの暇つぶしコラム

       『価値観が合わない』

僕は数年前、管理職となった。といっても、

サナギから蝶に変わるような劇的な見た目の変化はある訳もなく、

自身のあり方や周囲から求められる事が変わるだけだった。

そもそも僕は、課長とか次長と聞くと、

バーコード頭のオッサンをイメージしてしまう世代であるが、

今の所オッサンではあるがバーコード頭ではない。

(誰がオッサンやねん!!)幸運

この「何をイメージするか」という事は、

人の価値観を左右するからタチが悪い。そんな話。

僕がまだ学生で、実家で生活していた頃、エアコンは「贅沢品」だった。

TVのニュースで生活保護を受けている人が

夏の暑さで亡くなったという事件が報道され、

コメンテーターは「生活保護の人がかわいそうだ」

「なぜエアコンを許可しなかったのだ」等、

生活保護者をかばう声が飛び交う。

「おもいっきりTV」でみのもんたが

「ひじきは体に良い」と言えば一週間ひじきを出し続ける母が

それを見て息巻くのは当然の流れで、僕が学校から帰宅するなり、

母は行き場のない怒りを僕にぶつけてきた。

生活保護を受けている人は所有してはいけない物、

いわゆる「贅沢品」が決まっていて、

そこにエアコンが含まれていて(あくまで当時の話)

生活保護者がかわいそうだと言う。

母は働きたくても働けない、ボロボロの服を着た

おばあさんを生活保護者としてイメージしているらしいが、

ニュースを見ていない僕は、お金が受給されるなり酒を買いに行く、

働く気のないオッサンをイメージした為、かわいそうだとは思わなかった。

そんな僕に母は「あなたは一生結婚できない」と言い放った。

(結婚出来たし!!)皮肉な笑い

この時、僕と母は「生活保護者の死」という事実に対して、

その人をイメージして想像の中で会話をしていたのだ。

「価値観が合わない」なんて時は、

このイメージからの「仮説の立て方」(~だったのだろう等)が

全く違う時なのだと思う。

今までどんな経験をしてきて、どんな物の見方をするか。

それは「正しい」とか「正しくない」とかの問題ではなく、

「どんな仮説を立てるのか」だけ。

そして仮説は事実が分からない限り、どんな物でも「可能性がある」のだ。

それでも人は、自分の仮説が「正しい」と思ってしまいがちだ。

自分の価値観を「正しい」と思って過ごしているのが一番楽だし、気持ちが良い。

だから違う価値観の人と出会ってしまうと

「あの人は間違っている」と攻撃したくなってしまうのだろう。

自分の考えは「正しい」のか、「可能性がある」のか。

相手の考えは「正しい」のか「可能性がある」のか。

一度冷静に深呼吸をして考えてみて欲しい。

一週間ひじきが出続ける事が、どれだけつらいのかを・・・

              おしまい。